還暦を越えて…初めの一歩 第2話「孫誕生」

自分の歴史
孫を抱く

吾輩は人間である。名前はまだない。

台風にびびり、地震に驚き、予定よりちょっと早くこの世に出てきてしまった。

世の中は平成最後の年、何やら騒がしい。

ボクは平成30年9月6日朝、初めて外の空気を呼吸した。

最初にボクを笑顔で迎えてくれたのは、母となるなっちゃんと、父となるユウジさん。その後やってきたのは、たまたま病院に来ていたひいばあちゃん。そしておじいちゃんになるヒサシさんとユミさん。これまた、満面の笑顔でボクを迎えてくれた。

ボクのお父さんは、ひいじいちゃんがちょうど60歳の時に生まれたから、同じ辰年で、ボクはねヒサシおじいちゃんが今年60歳になるから同じ戌年なんだ。

もっと偶然は、ボクのお父さんは昭和最後の年に生まれ、ボクは平成最後の年に生まれたんだ。この30年周期で時代は変わっていく感じがするね。

父のユウジさんは、生まれた時、いきなり保育器に入れられた特別待遇だったらしいけれど、ボクは同じように9月6日に生まれた仲間たちと一緒に並べられていた。大人の顔はいろいろ違って見えるけど、ボクの仲間たちは区別がつきにくい。みんなよく似て、みんなきれいなんだ、とっても純心なんだ。名前のない、みーんな同じ人間なんだ。

ところがね、DNAが違うから、みーんな違う人になるらしい。そして大人になると見分けがつくようなるんだ。

ボクはどんなDNAを持っているのかな。

ちょっと早く出てきちゃったこともあって、ボクの名前はまだ決まってない。生まれてくる前から、両親2人でいろいろ考えてくれていたらしいんだけど、どうやら二者選択、最終段階で悩んでいるようだ。

名前は言霊・・・。

ずっとその名前を呼ばれることで、呪文のようにその子に影響を及ぼすらしいよ。

ボクの名前はなんてつくんだろう、そしてどんな人になるんだろう。

DNAは変えられないけど、この名前でどうやらボクの生き方も決まるかもしれないな。

楽しみだな。

孫!

孫!

今こうしてボクを抱いたユミさんは、漢字で「由美」と書く。

…自由に美しく…と。

まさしくそんな感じで生きてきた人らしい。

きっとボクも自由人になりそうだから、

おばあちゃん、協力頼むよ。

仲良くやろうね。由美さん。

 

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