昭和生まれ令和を生きる 第18話 今さら「紙」の話

HIME企画
いろいろな紙

いろいろな紙

紙のことをよく周知されている先生とお話する機会があった。

そこで、そもそも「紙の定義」ってね、という話しになり、会話というよりいつの間にか講義を聴かせていただくことになった。

 

「紙の定義」ってご存知ですか?

長きにわたり印刷会社にいて、恥ずかしながら紙の定義を知らなかった。

それに紙の起源は古代エジプトのパピルスと思い込んでいた自分。

パピルスはpaperの語源であって、用途としては紙と同じだが、紙の定義からすると紙ではないらしい。

では紙の定義とは・・・

「繊維と繊維の水素結合だよ」と今さら教わりました。

水素結合…もう化学式とかは忘れましたが、繊維のセルロースが水を介在してくっついたというイメージで理解しました。

ここで余談、調べてみると紙をすくときは繊維が引っ張られて整然と並ぶらしく、その時に紙の「目なり」ができるようだ。ちなみに「目なり」とは業界用語なので説明しておくと、目なりにそって紙を割くと割けやすく、逆の目なりだと割けにくいという「紙の流れの方向」のこと。さらに余談、一度紙が濡れてシワになると真っすぐに戻らないのは、その整然と並んだ繊維たちの水素結合が壊れてしまうからということ。余談が続きましたが、繊維の水素結合からの納得の現象。

そしてパピルスは、パピルスという水草の茎を重ね合わせてできたもので、紙の定義からいうと紙ではないということでした。

さらに講義は続き、この紙の定義からすると繊維のあるものなら何でも紙にできる。ただ今のように木材パルプを使うようになったのは歴史が浅く、もともとは、麻のぼろ布を使ったそうです。ぼろ布はだんだん不足して様々な植物、そして簡単に繊維が取り出せる木材へと移行していったようです。

 

ところが先生が今持ちかけられている相談は、アパレル業界で処分されている服が紙として再利用できないか、ということだそうです。

皮肉なことですね、今や布は溢れ、木材資源の森林はなくなっていく。

 

実は先生にお会いしにいった理由は、私たちが昨年来から出がけている岐阜のバナナペーパー作りの中で、どうしても制作途中で印刷適正の良くない紙が残ってしまう。そこで学生さんたちにその紙を利用いただけないか相談に行ったのだった。

そこから先生にいただいた話は、このアパレル業界の服を紙にする際、このバナナペーパーをもう一度溶かし混ぜて紙を作ってはどうかというお話だった。それもまた価値ある利用法だ。

 

ここ数年会社で力を入れて使ってきたバナナペーパーは非木材紙。しかもバナナの茎という廃材を原料に含んだ紙。

最近はSDGsという世の中の流行語的共通テーマとの親和性も高く、メディアでも取り上げられるようになってきた。

時代が追い付いてきたら、そろそろ次のことを始めたいのが我社。

今まで使ってきたバナナペーパーは世界の貧困国での雇用促進やインフラ整備に一役買ってきたが、たまたま岐阜県でバナナを作るプロジェクトと出会った私たちもバナナペーパー作りに協力することになった。これは地産地消という理想的な資源循環と障がい者雇用という社会や環境に関わる紙になる。

 

そして今年、もうひとつ考えている紙はサーキュラーコットンペーパーというアパレル業界の廃棄問題を少しでも解決しようという取組から生れた紙。原料の30%がコットンでフワッと軽い美しい紙だった。これから印刷適正をみつつ、挑戦していきたい紙だ。

ペーパーレスといわれて久しいが、紙そのものは本来環境にもやさしく、リサイクル率も高い素材。

その昔、紙が高級品といわれていたように、私たちは「いい紙」を使い「いい印刷物」をつくり、記録し伝達して「いい社会」の実現に貢献していきたいと思う。

年頭から、改めて印刷媒体の多くを占める「紙」について考えてみた。

紙っておもしろい。
捨てるには惜しい。

 


タイトルとURLをコピーしました