昭和生まれ令和を生きる  第10話 ドメスティックに端楽(はたらく)


多分今は、新型コロナウィルスによって世界的な危機に直面しているのだと思う。

何でそんなあやふやな言い方かというと、目に見えないものが及ぼす結果が、自分の人生で経験したことがないからだ。それは私だけではなく、世界中のすべての人々が。

戦争を知らない私たち世代にとっては、人の命を奪っていく最大の危機かもしれない。

心が痛む。

 

そんな中で自分の頭の中に浮かんだ言葉は「ドメスティック」。

これは「家庭内の」という意味ではなく、よく空港の案内に見られるような

domestic…「国内の」あるいは「内向きの」といった意味でのドメスティック。

ドメスティックプロダクツといえば国内生産ということになるわけだが、今私が思うのはもっと小さなカテゴリーで「社内」とか「自分たち自身」という意味で。

規制はかからないけど、とかく自粛という言葉がはびこって外に出にくくなってしまった。こんな時はどうするか。

 

まずは体力をつけること。自分自身はもとより、今こそ会社の体力を作っておく時だと思った。

会社の体力とは・・・人の知識、モノづくりの技術、そしてやっぱり資金。そう人、モノ、金。

資金については、この伝染病の前に偶然にも借り入れをしていて何とかメドはついていた。

ならば、後は知識と技術の蓄積と温存。

昨年末に社員と面談をして、そこから出てきた多くの「改善提案」や「今後の展望」を最近やっとまとめた。

「改善提案」の中で最も多かったのが「勉強会」を開いてください、ということだった。

 

何を今さら…と思われるかもしれないが、日々刻々と変わる情報収集の仕方、そしてそれをまとめ、あらゆる形にして発信していくのが私たちの仕事だが、作り手と売り手には少しずつギャップが生じてくる。

新しい知識や技術があるのに、それを理解していない営業マン、あるいはどんどん高くなるお客さまの要望がくみ取れない現場。

一貫生産を売りにする我社も、目の前の忙しさに追われて社内のギャップを埋められないまま、進んでしまった繁忙期。

今、それを越え少しゆとりが出てきた社内に訪れたこの感染症の非常事態。

ここから先、まったく予想できない少し先の未来。

ただ、もう少し先の未来にはやっぱり理想も目標も掲げたままだ。

その時「よい会社」でありたい。

それは、社員にもお客さまにも世間にも。

 

では今できることは何か…「働く」…「端楽(はたらく)」のだ。

「端楽は働くの語源とも言われているが、「端…自分の回り」を「楽にする」ということ。

私的には、自分の近くにいる人を楽にすることだと思っている。

それは家族だったり、社員だったり、お客様だったり、友人だったり。

自分の一番近くにいる人を幸せにできない人は、誰も幸せにできないと思う。

だから、仕事も隣の人が喜んでもらうように端楽。

隣の人が喜んだなら、またその隣の人も喜ぶように端楽。

 

それには今持てる社内の知識や技術をまずは自分たちが学ぶ時だと思う。

もちろん、この感染を防ぐためにグローバルな情報交換や世界への思いやりは必要だが、私は今、ドメスティックに社内に目を向け知識や技術を磨いて、お互いの理解を深める時間だと思う。

ドメスティックに端楽(働く)。

 

志村けんさんが、この感染病で命を落としてしまった。

その彼に、大切にしていることは何ですか?

という質問の答えは

「健康第一、そして次にお客さまが喜ぶことをとことんやること」

と言っていた。

隣の人を喜ばす前に…

健康第一だったのに…

多くの人がこの感染症をもっとも憎んだ出来事のひとつ。

 

今年もお花見できた

 

 


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